取扱事案

労働(被用者側)

 近年、労働者のみなさんの権利保護の機運の高まりにより、法律上労働関係諸法が整備され、また裁判所においても労働者のみなさんの権利を保護する判決がたびたび出されるようになりました。
 しかし、残念ながら個々の現場の労働環境においては、まだまだ労働者のみなさんの権利保護意識が根付いているとは言い難く、時には労働関係諸法をも平然と踏みにじるような環境での労働を強いられている方もおられます。また、形式的には労働関係諸法を守っているように取り繕いながら、実は労働関係諸法に違反し(あるいは潜脱して)いるというケースも非常に多いものです。
 「給料をきちんと支払ってもらえない」・「残業代を支払ってもらえない」・「突然会社から解雇された」・「自主退職を強要された」・「辞めたいのに辞めさせてもらえない」などなど。様々な問題が起きています。
 そんなとき

「雇われているんだからしょうがない」
「社長の言うことだから正しいんだろう」
「会社に逆らってクビになったら元も子もない」
「どうせ会社と争っても勝てるはずがない」

 そう思ってあきらめていては何も解決しません。
 あなたを守る法律があります。

 一度弁護士にご相談ください。きっとよりよい選択肢をご提示できることと思います。

労使トラブルの典型的な例について

1 未払い給与(残業代含む)

 労働基準法上、賃金については「使用者が労働者に対して労働の対償として支払うもの」と規定されており、具体的な名称の如何を問いません。
 賃金の支払いについてはいわゆる5原則があり、それは以下のようなものです(あくまで原則ですので例外がありますが、以下では割愛します)。

①通貨払いの原則
 賃金は通貨(日本円です)で支払わなければならないという原則です。
 この原則により、いわゆる現物払い(店の商品を賃金の代わりに渡すこと)や小切手などでの支払いを拒否することが出来ます。
②直接払いの原則
 賃金は労働者本人に直接支払わなければならないという原則です。
 この原則により、代理人や親への支払いをもって「すでに賃金は支払い済みである」という雇用主の主張は認められないこととなります。
③全額払いの原則
 賃金は全額を支払わなければならないという原則です。
 この原則により、例えば「雇用主が労働者に貸したお金と一部相殺する」などということが出来なくなります。
④毎月1回以上払いの原則
 賃金は毎月1回以上支払わなければならないという原則です。
 この原則により、例えば「今月は会社が苦しいので来月2ヶ月分払う」などという言い逃れはできないこととなります。
⑤一定期日払いの原則
 賃金は毎月一定の期日に支払わなければならないという原則です。
 この原則により、例えば本来の給料日よりも賃金の支払いを遅らせることや、そもそもあいまいな給料日の設定をすることが出来なくなります。

 しかし、実際にはこのような5原則の存在にもかかわらず原則を守らず、雇う側と雇われる側という立場の強弱や、労働者の無知に付けこむような違法な賃金の処理をしている雇用主もたくさんいます。
 弁護士はそのような違法行為を行っている雇用主から、労働者の正当な権利である賃金を取り戻すお手伝いをいたします。

2 解雇無効・退職勧奨など

 突然会社から解雇を通告された。会社から自主退職を強要されている。このような緊急事態も、昨今の社会情勢ではいつ起こってもおかしくありません。雇用主は様々な理由を述べ、あるいは労働者のわずかな非違を取り上げて「懲戒解雇である」などと強弁することもあるでしょう。
 また、手を替え人を替え、労働者が「うん」というまで執拗に自主退職することを求め続けてくることもあるでしょう。
 しかし、労働関係諸法は解雇について解雇権濫用の法理を明文化し(労働契約法16条)、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」にはその権利を濫用したものとして無効であると規定しています。これは懲戒解雇であろうと適用されるルールです。
 また、解雇や退職勧奨の場面では、雇用主自身にも自分のやろうとしていることが解雇なのか退職勧奨なのかよくわかっておらず、労働者としても対応策の検討しようがないという笑えないようなことも多いです。
 弁護士はこのような問題について、雇用主の違法な解雇や退職勧奨を辞めさせ、あるいは後に裁判の場において解雇無効・退職勧奨への損害賠償請求を勝ち取るために雇用主との折衝を行い、処分の法的性質を確定させ、その後適切な対応策をとることで労働者の地位を守ります。

3 労災事故

 労災事故が起こった場合、雇用主は労働基準監督署に労災事故についての届け出を行い、労働者は労災保険による保険金の給付を受けます。
 しかし、現実にはこのような当然の労災事故申告すら行わない雇用主も相当数存在しています。そのような悪質な雇用主は労災事故の発生にもかかわらず、労働者がプライベートで怪我をしたことにしてほしいなどと労働者に求めるようなこともあります。また、労災事故申告を行ったとしても、まるで労働者の過失により労災事故が起きてしまったかのように少しずつ事実を歪曲した報告を労働基準監督署に行うなどの悪質な行動を採ることもあります。
 そのような場合、弁護士が介入することにより雇用主に労災事故の発生を認めさせます。
 また、労災事故における労災保険金とは、労災事故により労働者が受けたすべての損害を填補するものではありません。
 労災事故の発生により、雇用主には民法上の損害賠償責任が発生しており(民法709条、715条、または民法415条に基づく安全配慮義務違反)、この民法上の損害賠償請求権は労災保険金によりすべてがカバーされることは無いのです。
 これは、たとえて言うなら労災保険は交通事故における自賠責保険のようなものであって、本来の民法上の損害賠償請求権と労災保険金との差額は雇用主がこれを支払う義務を負うということなのです。
 しかし、悪質な雇用主は労災保険金の受給ですべてが終わりであるかのような説明を労働者に対して行い、労災保険金を超過する損害についての賠償を免れようとします。
 弁護士は、このような悪質な雇用主に本来の損害賠償金を支払わせ、労働者が受けた損害の回復を図ります。

4 退職拒否(内定辞退の拒絶なども含む)

 一部の雇用主は、労働者が退職希望や内定辞退の意思を伝えても、これを受け入れず、就労を強要しようとします。これは近年問題となっているブラック企業と揶揄されるような雇用主に多いように思われます。
 労働者の退職の自由については、「期間の定めのない雇用契約」(一般に正社員として勤務されている方はほとんどがこの雇用形態です)の場合、2週間以上の猶予期間を設けて退職の意思表示をすれば、雇用主の側でこれを拒むことはできません(民法627条)。
 同様の理由で、内定を辞退する場合にも労働開始日の2週間以上前までに内定辞退の意思を伝えれば、有効に内定を辞退することが出来ます。
 とはいえ、無用のトラブルを避けるためには、なるべく勤務先(内定先)の雇用主に迷惑の掛からないように、早めに退職(内定辞退)の意思を伝えるべきでしょう。
 なお、雇用主の側で民法627条およびそれに関する判例を知ってか知らずか、退職や内定辞退を認めないとの主張を続け、勤務を強要することがままあります。
 そのような場合には、弁護士が介入した上で雇用主の考えが根本的に誤りであることを通告する等の方法を採ることにより、たいていは雇用主が諦めます。

5 違法な人事命令

 「これまでかかわってきたプロジェクトから突然外された」
 「専門の技術職として採用されたはずなのに事務職へと配転を命じられた」
 「新居を購入したばかりなのにさしたる理由もなく遠方へと転勤を命じられた」
 「今までの担当顧客を外されて新規顧客開拓を命じられた」
 などなど
 納得しがたい人事命令に悩まされることは、労働者の常とも言えるでしょう。
 雇用主との間で雇用契約を締結している以上、人事命令(配転命令や異動命令)には原則として従う義務が存在しているため、原則として人事命令などを拒絶することは難しいものと考えなければいけません。
 また、適法な人事命令に従わなかった場合、人事命令違反について懲戒の対象とされる可能性も否定できません。
 でも、待ってください。
 従わなければいけない人事命令はあくまで「適法なもの」に限られます。
 個々の人事命令の適法性については、ケースバイケースの細かな判断が必要となるため、じっくりとお話をお聞きして検討する必要があります。
 納得できない人事命令にお悩みの方は一度弁護士にご相談ください。弁護士はじっくりとお話をお伺いして、従わなければいけない「適法な」人事命令なのか、それとも闘うべき「違法な」人事命令なのかをアドバイスいたします。