2025/05/29 新着情報
スポンサーから見たスポーツ団体とのスポンサー契約のリスク 〜スポンサー契約とスポーツチームのガバナンス体制〜
1.はじめに
多くのスポーツ団体は、スポーツ振興を目的とした補助金・助成金を活用して運営費を賄っていますが、それに加え、スポンサー契約による収益も重要な柱となっています。
特に、金額に上限のある補助金・助成金と異なり、スポンサー契約の拡大は収益増加の大きな可能性を秘めており、スポーツ団体の成長には不可欠な要素です。
本稿では、企業がスポーツ団体とスポンサー契約を検討する際に注目する法的観点について解説します。
2.スポーツ団体への広告費の投資のリスク
企業はスポーツ団体に対し、企業名のブランド力や商品の知名度またはイメージを向上させることを期待し、スポンサー契約をして、スポーツ団体を広告塔とします。
そのような広告活動は、消費者に対して企業や商品と広告塔が同一視される事で広告効果が生じます。
しかし同時に、広告塔のイメージが悪くなると、スポンサー企業のイメージにも悪影響を与えるリスクがあります。
某テレビ局の不祥事が問題になった際、当該チャンネルでACジャパンの広告ばかり流れるようになったのも記憶に新しいですが、それは不祥事を起こした広告塔たるチャンネルにおいてスポンサーの名前を出さないようにし、企業イメージを守るためです。
このような背景から企業は、上記リスクを踏まえてスポンサーとなるか否かの判断をしているため、企業にとって、スポンサーになろうとするスポーツ団体がどの程度、不祥事を起こす危険性があるのか、不祥事があったとして適切な対応が出来る体制であるのかは重要な関心事項であるのです。
3.大企業から見たスポーツ団体のガバナンス体制
スポンサー契約によって、より大きな資金を調達するためには事業規模の大きい企業からのスポンサードを受ける必要がありますが、前記の通り、企業から見てスポーツ団体への広告費の投資には一定のリスクが伴います。
スポーツ団体が資金力の大きな企業からの投資を受けるためには、そのようなリスクに対応していることを示すガバナンス体制が構築されていることを示す必要があり、そのための規則作りや運営を行う必要があります。
一方で、スポーツ団体は財政基盤が脆弱であることも多く、ガバナンス体制の構築、内部規則の制定、契約書の作成などを、弁護士などの専門家に依頼することができず、団体の従業員が自ら作成する場合や、そもそも作成しない場合も多々あります。
しかし、昨今のレピュテーションリスクへの対応の重要性の高まりから大企業は特に、自らのガバナンス体制の構築、適正な運営に力を注いでいます。そんな大企業から見ればガバナンス体制がしっかりと構築されていることは大前提となっているもので、その点が不安なスポーツ団体への投資は、過大なリスクとみなされてしまい、契約を回避する要因になってしまうのです。
4.さいごに
橋下綜合法律事務所では、スポーツ業界に詳しい弁護士が在籍しており、各スポーツ団体の内情をしっかりと反映させたガバナンス体制の構築の支援や内部規定の制定や契約書の作成が可能です。そのサポートによりスポーツ団体がより多くのスポンサー契約を獲得することを援助できます。
また、顧問契約を締結した場合は、日頃の団体運営において様々な法的サービスの提供ができることに加え、顧問契約自体がスポンサーからの信頼性のアピールとなります。
その他、スポーツ団体運営に係わる法的な問題についてお悩みの際は、弊事務所にご相談下さい。
<弁護士 杉山幸太郎>