弁護士雑感

2024/12/12 弁護士雑感

【弁護士雑感】相続に関して ①法定相続割合

  • はじめに

人はいつか必ず亡くなります。その際,亡くなられた方の権利義務(以下,「相続財産」といいます)を承継する手続きを「相続」といい,相続される方を「相続人」といいます(一方で,亡くなられた方を「被相続人」といいます)。

自身の相続に関する思いを実現するための方法として,多くの方が「遺言書」(「ゆいごんしょ」と読まれる方が多いかと思いますが,法律上は「いごんしょ」が正しい読み方になります)というものがあることは御存じかと思いますが,仮に遺言書が残されていなかった場合,相続財産についてはどの様に相続することになるのか,御存じでない方も多いかもしれません。

そこで,今回は遺言書などを残されずに被相続人の方が亡くなられた場合に,民法上はどのように相続すると定められているのかについて,書かせて頂きたいと思います。

 

2.法定相続割合

 まず,民法上,被相続人の方に配偶者がいる場合(婚姻されている場合)には,配偶者の方は必ず相続人になります。

 そして,子どもがいる場合には,相続財産は配偶者の方が2分の1,子どもが2分の1(2分の1を子どもの人数で等分する)の割合で相続します。

 次に,子どもがおられず,被相続人の方の御両親のどちらかが御存命である場合には,相続財産は配偶者の方が3分の2,御両親が3分の1(2人とも御存命の場合には6分の1ずつ)の割合で相続します。

 更に,子どもも御両親もおられず,兄弟姉妹がおられる場合には,相続財産は配偶者の方が4分の3,兄弟姉妹が4分の1(兄弟姉妹の人数で等分する)の割合で相続します。

 一方で,配偶者の方がおられない場合には,子どもがおられれば,子どもたちで等分,子どももいない場合は御両親で等分,子どもも御両親もおられない場合は兄弟姉妹で等分する形で相続財産を相続することになります。

 

第3 相続放棄について

 上述のとおり,配偶者,子,両親,兄弟姉妹については民法上(法定)相続人として相続することが定められていますが,例えば相続財産の中に多額の借金がある場合など,相続人の方が相続することを望まない場合には「相続放棄」という手続きを取ることによって,自身が相続人になることを拒否することが認められています。

 こちらの手続きは,相続が開始したことを知ってから3カ月以内にしなければならないと民法に定められておりますので,注意が必要です(ただし,相続財産の調査が必要な場合で,3カ月では間に合わない場合などには延長申請も可能です)。

 

 相続については色々と難しいケースもございますので,お困りの場合には,当法律事務所に御相談頂ければと思います。

 〈弁護士 松隈貴史〉                      

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