2024/11/06 弁護士雑感
【弁護士雑感】連帯保証人になる場合の注意
本記事では、連帯保証人の責任の重さを通常の保証人と比較して考える内容となっております。
1.はじめに
私は、「絶対に連帯保証人には決してなってはいけない」と親に幼少期の頃から教えられてきました。もしかすると、他の家庭でも同じように教えられていたかもしれませんし、今でも同じように教えられているかもしれません。
それでは何故連帯保証人に気軽になってはいけないのか、通常の保証と比較して、改めて検討していきます。
2.連帯保証人と保証人の共通点
保証契約とは、簡単にいうとお金を貸した人(債権者)からお金を借りた人(債務者)が債権者に資金不足などで返済ができない場合に、保証人となった者が債務者の代わりに返済する契約になります。
連帯保証人と保証人は、債務者が債務を返済できない場合に債務者に代わり返済をするという点において、両者は共通しています。
なお、連帯保証契約と保証契約のいずれにおいても契約が書面で締結されなければ、無効となります。(民法改正により、電磁的記録により締結することで書面で締結したとみなされますので、電子契約でも締結可能となりました。)
3.連帯保証人と保証人の相違点
連帯保証と保証では、主に以下の3点が違いとしてあげられます。
①連帯保証には催告の抗弁がない。
②連帯保証には検索の抗弁がない。
③連帯保証人には分別の利益がない。
以下、それぞれ詳しくみていきます。
3-1.①連帯保証には催告の抗弁がない。
催告の抗弁とは、保証人が債権者から債務の履行を請求された場合に、まず先に債務者に対して返済を請求するように債権者に主張することができることをいいます。
つまり、保証人は債権者に対して、まず最初にお金を借りた債務者に返済を求めてくださいと主張することができるということです。
連帯保証人は、この主張をすることができません(民法第454条、452条)。
3-2.②連帯保証には検索の抗弁がない。
検索の抗弁とは、債権者が、催告の抗弁に従い、債務者に催告した後であっても、保証人が主たる債務者に弁済する資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者はまず主たる債務者の財産について執行をしなければならないとするものです。
つまり、保証人が債務者に資力があって、その取り立てが容易であることを立証すれば、債権者はまずは債務者から取り立てをしなければなりません。
連帯保証人は、この主張をすることができません(民法第454条、453条)。
3ー3。③連帯保証人には分別の利益がない。
例えば債務額が100万円として、通常の保証人が2人いる場合は、各保証人が保証しなければならない額は、それぞれ50万円ずつとなります(分別の利益)。
しかし、連帯保証人の場合は、連帯保証人が何人いたとしても、債務全額(例では100万円)を各連帯保証人が保証しなければなりません。そのため、連帯保証人は、債権者から100万円の請求を受けた場合は、他に連帯保証人がいるからといって、50万円の支払いだけでは責任を果たしたことにならないこととなります。
4.連帯保証人の責任は重い。
以上を見てきたとおり、連帯保証人の責任は、保証人とはいえ、実質的に債務者同然の責任を負わなければならないことになります。
なお、実務的には保証は、連帯保証が用いられることがほとんどです。
そのため、親族や親しい友人から連帯保証人になってほしいと頼まれたとしてもその責任の重さを理解してから連帯保証人になることが良いです。
〈弁護士 去来川祥〉