弁護士雑感

2016/10/31 弁護士雑感

【弁護士雑感】交通事故について

 これまで当事務所でも交通事故に関する御相談を数多く頂いてきました。

 そこで、本日は交通事故について、少し書きたいと思います。

 交通事故に関する御相談で、最近件数が増えているのは、いわゆるセカンドオピニオンを求められる御相談です。その中でも、「自分は全く悪くないのに、なぜ自分にも過失が認められる方向で話が進んでいるのか、納得できないので意見を聞きたい」という御相談が数多くを占めています。

交通事故の過失割合については、判例も数多く存在しますので、相談者が同じであれば弁護士によってそれほど結論に大きな違いが生じるということはないのですが、中には、過失割合を左右する重大な事実を見逃していると思われるものもありました。したがって、依頼している弁護士の対応に少しでも不安を感じられた場合には、セカンドオピニオンを求めて頂くこと自体は当職としても推奨しているところです。

 交通事故の場合、100対0の過失割合が認められた事例はそれほど多くなく、どう考えても相手方が一方的に悪いだろうと考えられるような事案であっても90対10など、一部被害者側にも過失が認められるというのが実情です。したがって、この辺りは世間一般の常識と少し乖離がある部分かも知れません。

 例えば、私が過去に実際に取り扱った事件(傷害結果なし)の中に、相手方に明らかな重過失があり、相手方の過失割合が90、当職の依頼者の過失割合が10と認められたものがありましたが、相手方の乗っていた車の評価額が600万円、当職の依頼者の乗っていた車の評価額が50万円であったために(いずれも全損)、結果的には当職の依頼者の方が15万円を多く支払わなければならないという結果に終わった事案もありました。依頼者は車両保険を使用できましたので、特に結果に対する御不満は頂きませんでしたが、これが仮に無保険だった場合には、依頼者としては相手方が明らかに悪いのに、なんで自分が多く賠償に応じないといけないんだという御不満をお持ちになったかと思います。当職としても、相手方に9割の過失を認めさせている以上、十分勝訴といえる判決内容ではあったのですが、頭で分かっていても何か腑に落ちない感覚が残ったことを覚えています。

また、近年、ネット上には交通事故を専門的に取り扱っている弁護士事務所のHPが散見され、弁護士に知り合いなどがおられない方などは、そのようなHPを見て御相談に行かれるというケースも多いようです。ただ、手広く広告をしている法律事務所の中には、ベテランと新人が共同受任の体制を取りながらも、実態は新人と思われる弁護士が全て一人でやっているという事務所もあるようで、そのような対応に不満があるといった内容の御相談も何件か頂きました。

 交通事故と一言にいっても、事故態様だけでなく、傷害結果の内容によっては医師との間で緊密なやり取りを求められる事案も多々あり、その意味でも経験が豊富であるに越したことはありません。法律事務所に御相談に行かれた際には、どの弁護士が最初から最後まで自分のために動いてもらえるのか、その点も、しっかりと御確認をされた上で、委任契約を締結された方が宜しいかと思います。

 交通事故の中には、重大な結果を生じさせ、損害額が数億円に上るものもあり(実際に5億円以上が認められた判例もあります)、そのような重大な事故を起こされた被害者の方にとっては、裁判所が過失割合を1割増減するだけで、損害として認定される損害額も数千万円の単位で変化することになりますので、弁護士の選任作業はその後の人生を左右する極めて重要なものといえます。

 そして、第1審の結論が出た後に、「結論に納得できない。弁護士については当初から信用できていなかった」との理由で御相談に来られた方が何名かおられましたが、そのような場面から交代させて頂いても、どうしてもできることというのは限られてしまいます。途中から受任させて頂いた事案で結論が大きく変わった事例がないわけではありませんが、出来れば初期の段階で、信頼できる弁護士を時間をかけてお探し頂き、最後までその弁護士に担当頂くことが望ましいことは間違いありません。

 交通事故は起こしても起こされてもパニックになりますので、冷静に弁護士を探すというのは難しいことかも知れませんが、少なくとも弁護士なら誰でも同じという考えは間違いですので、そのような考えのもと、適当に選任されることだけは避けて頂きたいと思います。

                                  <弁護士 松隈貴史>

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