弁護士雑感

2019/04/26 弁護士雑感

【弁護士雑感】裁判所における身体検査

 近年、全国の各裁判所において入庁時に身体検査が実施される裁判所が増えております。

 以前当職ブログ「裁判所の個性」においても少し書いた通り、以前は東京地方裁判所などの少数の裁判所においてしか実施されていなかったものですが、昨年からは大阪地方裁判所でも実施されるようになり、今年からは大阪家庭裁判所においても入庁時の身体検査が実施されています。

 もちろん、身体検査といっても、何も持ち物の全てを徹底的にチェックされるというようなものではなく、空港などに設置されている金属探知ゲートなどを用いた比較的簡易なものではあるのですが、それでも身体検査が行われているということには変わりはありません。

 

 ちなみに、去年には大阪地方裁判所で入庁時の身体検査が実施され、今年から大阪家庭裁判所でも入庁時の身体検査が行われるようになったこと(家裁の方が一年遅れたこと)について、ある方から「今年320日に起きた東京家庭裁判所での事件(※1)があったから警備が厳しくなったのか」と聞かれたことがありますが、そうではなく単に裁判所の予算の都合(平成29年度の予算では家庭裁判所までは金属探知機や警備の人員の予算が確保できなかった)であろうと思われます。

 ただ、大阪地方裁判所管内の各簡易裁判所はもちろん、比較的大きな地裁支部である堺支部・岸和田支部においても現時点で身体検査の実施はされておらず、来年以降予算が確保され次第順次拡大していくのか、拡大するとしてどこまで(さすがに各簡易裁判所までは広がらないと思いますが)広がるのかということは未知数です。

 さて、この裁判所における身体検査なのですが、裁判所職員・弁護士・弁護士事務所事務員・検察官・検察事務官などの「業務上の理由のあるもの」については身分証明書をみせることで身体検査をパスすることが可能です。

 我々弁護士の場合には主に弁護士記章(弁護士バッジ)を裁判所の入口で見せることが多いのですが、当然身分証明をすることができなければ弁護士であっても身体検査を受ける必要があります。

 実際にも、昨年盛夏のころにクールビズで上着を着用していなかった際に弁護士バッジがなく、かつ東京への遠方出張だったためにいつもの鞄ではなくキャリーケースで移動していたという事情が重なり、弁護士バッジも身分証明書(大阪弁護士会発行のもの)も持っていなかった際には、しっかりと身体検査を受けることとなりました。

 

 以前も申し上げた通り、「開かれた裁判所」というスタンスからはやや逆行しているようにも見えますが、他方裁判所職員・裁判所を利用する一般市民の安全の確保という観点からは、やむを得ない風潮なのかもしれません。

 裁判所を利用する皆さんにもご理解を頂くしかないのかなと思っております。

〈弁護士 溝上宏司〉

米1 https://www.asahi.com/articles/ASM3N56RKM3NUTIL03T.html

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