2026/09/01 新着情報
労働審判とは?会社側が取るべき対応を弁護士が解説
「突然、裁判所から労働審判の呼出状(申立書)が届いた…」
「退職した従業員から不当解雇や未払い残業代で訴えられたが、どう対応すればいいかわからない」
従業員や元従業員から労働審判を起こされると、多くの経営者や人事担当者は強い不安を感じられることでしょう。対応を誤ったり初動が遅れたりすると、予想外の金銭の支払いを命じられたり、企業としての社会的信用を失ったりするリスクがあります。
この記事では、会社側(使用者側)の労働問題に特化した弁護士が、労働審判の概要から会社が取るべき具体的な対応方法までわかりやすく解説します。
労働審判を起こされた会社側が取るべき対応の結論
労働審判を会社側(使用者側)が有利に進める、あるいは妥当な内容で解決するための結論は、次の3点に集約されます。
- 「第1回期日」までに完璧な答弁書と証拠をすべて出し切る
- 原則「3回以内(約2〜3ヶ月)」で決着するスピード感を持って臨む
- 第1回期日通知が届いたらすぐに「会社側の労働問題に詳しい弁護士」へ相談する
労働審判は、通常の裁判(訴訟)と比べて圧倒的にスピードが速い手続です。最初の第1回期日で事実上の勝敗や方向性が決まってしまう可能性があるため、手遅れになる前の即座の対応が不可欠となります。
労働審判制度とは?仕組みと特徴をわかりやすく解説
労働審判制度とは、労働者と会社との間に生じた労働トラブル(個人のトラブル)を、裁判所を通じて迅速かつ柔軟に解決するための手続です。
労働審判の主な3つの特徴
- 専門家が話し合いを主導する
裁判官1名に加え、労働関係の専門知識や実務経験をもつ民間人2名(労使双方の立場から選ばれた労働審判員2名)の計3名で構成される「労働審判委員会」が審理します。現場の実務を踏まえた判断が行われるのが特徴です。 - 原則3回以内の期日でスピード解決する
申立てから終了まで約80日(約2〜3ヶ月)しかかかりません。第1回〜第2回の期日で全体の7割近くが終結します。 - 話し合い(調停)による柔軟な解決を目指す
基本的には双方の話し合い(調停)で解決を目指します。話し合いがまとまらない場合は、裁判所が決定(審判)を下します。
労働審判の対象となるトラブル
対象となるのは、労働者個人と会社との間のトラブルです。
- 対象になる例:争点が比較的単純な解雇事件、未払い賃金・残業代請求事件など
- 対象外になる例:会社と労働組合との紛争、公務員の処分、上司個人に対する単独の請求など
会社側が直面する労働審判の具体例
実際にはどのようなトラブルで労働審判が申し立てられるのでしょうか。代表的な2つの具体例を見てみましょう。
例1:問題社員から「不当解雇だ」と訴えられたケース
「勤務態度が悪く業務命令に従わない社員を解雇したら、解雇無効と給与の支払いを求めて労働審判を起こされた」というケースです。
- 今後想定される行動:
日本の法律では、解雇は厳しく制限されています。単に「仕事ができない」だけでは解雇できません。会社側は、具体的な問題行動の記録(業務日報、注意書など)や、これまで改善の機会を与えた指導履歴(始末書、研修記録など)を証拠として提出する必要があります。
例2:元従業員から「未払い残業代がある」と請求されたケース
「退職した元社員から、過去の未払い残業代数百万円を一括請求された」というケースです。
- 今後想定される行動:
タイムカードの記録、パソコンのログイン・ログオフ履歴、業務指示メールなどを精査します。労働者の主張する労働時間が正しいかどうかを分析し、反論のための証拠を集める必要があります。
会社側が労働審判で絶対に注意すべき3つのポイント
労働審判の呼出状が会社に届いた場合、次の3つのポイントを必ず守る必要があります。
1. 答弁書と証拠は「最初に出し切る」
労働審判では、書面の補充や後からの主張追加はほとんど認められません。指定された提出期限(多くの場合第1回期日の1週間〜10日前と指定される)までに、会社の言い分をまとめた「答弁書」とそれを裏付ける「証拠書類」を出し切る必要があります。
「詳しい反論は次の期日で…」という姿勢は致命的となり、相手の主張が全面的に通ってしまうリスクが高まります。
2. 第1回期日には経営者や現場の担当者が出席する
労働審判は、当事者から「生の声」を聞いて事実を確認します。審判委員会は当事者の「生の事実」を聞くことを重視するため、弁護士だけでなく、事実関係を把握している会社代表者や人事担当者、現場の上司の出席が重要です。事前の打ち合わせを行い、審判員からの質問にしっかりと答えられるよう準備しておく必要があります。
3. 話し合い(調停)での解決の着地点を考えておく
労働審判の約7割は調停(話し合いでの解決)で終了します。譲歩できる限界ライン(金銭的な支払い条件など)を事前に社内で協議し、柔軟な姿勢を用意しておくことが早期解決につながります。
労働審判を会社側弁護士に相談・依頼するメリット
労働審判を起こされた場合、会社独自で対応するのは極めて危険です。会社側(使用者側)の弁護士に依頼することで、次のような大きなメリットが得られます。
- タイトなスケジュールに対応できる
呼出状が届いてから第1回期日まで約40日、答弁書提出までは実質2〜3週間しかありません。弁護士へ早期に依頼することで、遅滞なく質の高い答弁書と証拠説明書を作成できます。 - 有利な心証を形成するための審尋対策ができる
当日の審尋でどのような質問がなされるかを想定し、経営者や担当者が適切に回答できるようアドバイス・サポートを行います。 - 会社にとって妥当な条件で調停(和解)をまとめられる
裁判所の心証(どちらに分があるか)を素早く察知し、会社が最小限のダメージ・出費で済むよう戦略的に交渉を進めます。
事務所紹介:企業側の労働問題・労働審判のご相談なら当事務所へ
当事務所では、企業側(使用者側)の労働問題に関するご相談を多数取り扱っております。
労働審判は、申立書を受け取ってからの「初動のスピードと質」で結果がほぼ決まります。「どう対応すればいいかわからない」「相手の主張に納得がいかない」とお困りの経営者・人事担当者は、一刻も早くご相談ください。
当事務所は、企業の経営を守る視点から親身にサポートしております。お気軽にお問い合わせください。
弁護士 山中智生

