弁護士雑感

2016/08/11 弁護士雑感

【弁護士雑感】夏の裁判所

 最近毎日暑い日が続いています。特にここ数日の暑さはすさまじいばかりで、連日35度超え、地域によっては40度に迫ろうかという場所もあるようです。本日は、法律や判例の御紹介ではなく、閑話休題としてちょっとしたよもやま話をいたします。

 さて、夏といえば子供にとっては夏休みという楽しいイベントの時期なのですが、裁判所においても「夏季休廷期間」というものが設けられている時期でもあります。

 この夏季休廷期間。意外と長く2週間から3週間ほどの期間をかけて、裁判所の部(大阪地方裁判所では民事部だけで20を超える部があります)ごとに少しずつずらして取られるようで、夏はなかなか裁判の次回期日が入らない季節ということになります。

 そのため、訴訟を闘っておられる依頼者の方や、まさに訴訟提起をしたばかりの方からすると、通常であれば1カ月程度で次回期日が入るところ、次回期日まで2カ月近く間が空くということになり、なんとももどかしい思いをされることの多い季節でもあります。

 もっとも、「夏季休廷期間」といっても、お休みになるのは「法廷の開催」だけであり、別に個々の裁判官が夏休みをとっているわけではありません。

むしろ個々の裁判官は、この夏季休廷期間を利用して、それまで溜まっている裁判資料の読み込みや判決書の起案などを急ピッチで進めている(裁判官の友人からはそのように聞いています)らしいのです。

ただ、そうするとそもそもなぜ「夏季休廷」などというものが必要なのかという疑問も出てくるのですが、当職の勝手な推測では以下のような理由も一因ではなかったかと考えております。

 それは、裁判所の空調設備の貧弱さによるものです。

 最近は裁判所の建て替えもずいぶん進んでおり、地域によっては非常に新しい建物となっていることも増えてきました。

 しかし、まだまだ裁判所は築年数で言うと非常に古い建物が使用されていることが多く、かつ裁判所という性質上なかなか建て替えをするということは困難です。※1

 そのため、裁判所においては空調設備が非常に貧弱であるとか、あるいはそもそも空調設備を備えていないということも起こり得ます。

 当職が司法修習生としてお世話になった10年弱前頃には、「法廷」は冷暖房が備わっていなかったように記憶しているほどです。

 他方、法廷においては基本的に裁判官・書記官は法服という「黒い服」を着ることが義務付けられています。

この法服の由来にも諸説あるのですがここでは詳しいことは省くとして(※2)、盛夏の暑さの中、マントのような法服を着込んで開廷するというのはさすがに無理がある・・、そんな理由も夏季休廷期間が設けられている一つの理由ではないかと思うのです。

 まだまだ暑い日が続くことかとは思います。

 当事務所では、裁判所の夏季休廷期間とは異なり、お盆付近において夏季休業期間とさせていただいております。

 みなさまもお忙しいことかとは思いますが、休まれるときにはしっかりと休んでいただき、リフレッシュしてまたお仕事でご活躍頂ければと祈念しております。

※1 基本的には多数の事件を毎日処理していかなければならず、かつ要求される人員数・キャパシティ・裁判資料等の量があまりに膨大です。そのため代替施設などへ一時転居してその間に建て替え工事をということが非常に困難で、せいぜい増築工事で対処するほかありません。

※2 ちなみに法服が黒いのは「(これ以上)何物にも染まらないという裁判官の中立公平性を表している」といういかにも、もっともらしい説の他、「単に無駄な費用を減らすため洗濯や買い替えの必要性が減るように汚れが目立たない黒色にしただけ」というような身もふたもない説などがありますが、本当のところは不明というのが真相です。

<弁護士 溝上宏司>

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